株式会社JEXS
 ◆採用選考手法-状況設定面談
    Situational Interviewing

採用選考が自社でどのように行なわれているのか、棚卸してみる必要がある。言い換えると、自社の面接官が10人いるとして、それぞれが何を重視し、何を根拠にして評定しているのかを明らかにするということである。

JEXSでは過去10年間、様々な形で採用選考のトレーニングを行なってきた。実際の中途、新卒採用の現場に立ち会い、何を見て評定したのか、分析してきた。例えば、採用経験が5年以上ある女性担当者は、清潔感や、その雰囲気を重視し、投げかける質問に対して同調的な人物を高く評価し、選考していた。端的に言えば、第一印象と共感性である。一方、別の担当者(採用経験8年)は、質問に対して素早く回答し、歯切れの良さを何よりも重視した。これはビッグ5で言えば、開放性(Openness to Experience)重視ということにある。このように経験が長くなるほど、個人の評定基準は狭くなり、それによって判断が早くなっていく傾向がある。しかし、それは危険なことである。

Big5、すなわち、5因子性格特性によれば、5つの性格特性があるという。実際には莫大な項目がありうるのだが、それを集約するためにバリマックス回転という統計処理を行なうと、性格特性は5因子に集約できるというのが通説になっているのだ。

一般に、5因子とは、以下の5つで構成される。

・神経症傾向 Neuroticism
・開放性 Openness to Experience
・外向性(内向性) Extraversion
・共感性 Agreeableness
・誠実性 Conscientiousness

上述の例の場合、女性担当者は、共感性を偏重していることになり、その他4つを見落としていることになる。男性担当者は、開放性(回転のよさ)を偏重している。これに対して、最近の企業面接では、メンタルヘルス問題の浮上もあり、神経症傾向が高くないかを1つのチェックポイントにする傾向があるようだ。いずれにしても、せめて5つの特性は勘案すべきであろう。

今回は、状況設定面接(Situational Interviewing)を取り上げたい。これがラザムによって考案された手法だとされている。SIについては他のコラムでも紹介しているが、実際に起こりうる状況をわかりやすく被面接者に伝え、それに対してどのような行動を取るか、どう考えるかを尋ねる方法である。これを通じて、被面接者の判断力、類推力、考察力、想像力などを測ることができるだろう。

どのような設問がよいかは、採用される職務内容を考慮し、複数のものを設計し、実際に質疑を行ない、面接官を訓練しないといけない。すでにある設問を採用し、その質問を自社でやるだけでは適性や能力の測定はできない。ここが重要なポイントで、採用選考トレーニングを事前に行ない、面接官を選抜し、その上でさらにそのスキルを磨く機会を持たないといけないだろう。

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